RAID コントローラバッテリ

一部の RAID コントローラにはバッテリが使用されています。コントローラにバッテリがあると、Storage Management ではツリー表示のコントローラオブジェクトにバッテリが表示されます。

停電が起きた場合、コントローラバッテリは不揮発性キャッシュメモリ(NVRAM)の中にあってまだディスクに書き込まれていないデータを保存できます。バッテリには、最大 64 MB までの DIMM 保護が最低 72 時間、最大 128 MB までの DIMM 保護が最低 48 時間提供されています。実際の保護期間(ホールドオーバー時間)はバッテリの充電レベルによって異なります。

RAID コントローラをサーバーに最初にインストールする際には、バッテリは完全に充電されています。サーバーの電源がオンになると、バッテリは完全な充電サイクルを開始します。ほとんどのコントローラでは、バッテリを完全に充電するのに 3 時間かかります。この期間中にコントローラを使用することは可能ですが、バッテリが完全に充電されるまでは指定のホールドオーバー時間を満たすことはできません。最初の充電サイクル中でもバッテリは短時間の停電であれば対処できます。

コントローラバッテリには次の 2 種類があります。

NiMHi バッテリ
Li-Ion バッテリ

NiMHi バッテリは、信頼性を確保するため、約 6 ヶ月おきに修正する必要があります。詳細については、「バッテリの修正」をご参照ください。バッテリの修正を使って、バッテリを完全に放電してから再度充電します。バッテリの修正が必要になると、コントローラで状況が低下していると報告されます。さらに、コントローラはイベント「2145」を生成して、バッテリの修正が必要であることを通知する場合もあります。

Li-Ion またはリチウムイオンバッテリは、コントローラにより自動的に修正されます。これらのバッテリでは、バッテリの修正タスクを実行する必要はありません。RAID コントローラにあるバッテリの種類を調べるには、コントローラに付属のマニュアルをご参照ください。

RAID コントローラバッテリはすべて 3 年ごとに交換してください。バッテリの再充電カウントと最大再充電カウントプロパティもモニタしてください。詳細については、「バッテリのプロパティ」をご参照ください。これらのプロパティでは、バッテリを再充電できる最大回数に近づいている時期を示します。バッテリがこの限度に近い値になっている場合は、交換してください。

メモ:コントローラによってはバッテリがないものもあります。その他のコントローラの中には、自動的に修正するリチウムイオンバッテリを使用しているものがあり、その場合は Storage Management に修正タスクがありません。

関連情報

バッテリのプロパティおよびタスク
バッテリの修正
評価サイクルの開始
バッテリの評価サイクルの遅延

バッテリのプロパティおよびタスク

このウィンドウを使用するとバッテリについての情報を表示して、バッテリのタスクを実行することができます。

バッテリのプロパティ

バッテリのツリー表示オブジェクトには、次のプロパティが含まれています。

プロパティ

定義

状態

これらのアイコンはストレージコンポーネントの重大度、または正常性を示します。

正常/OK

警告/非重要

重要/致命的

詳細については、「ストレージコンポーネントの重大度」をご参照ください。

名前

このプロパティにはバッテリの名前が表示されます。

状況

このプロパティにはバッテリの現在の状況が表示されます。可能な値には次のようなものがあります。

準備完了 - バッテリは正常に機能しています。

低下 - バッテリは修整が必要です。

修正中 - バッテリを修正中です。詳細については、「バッテリの修正」をご参照ください。

充電中 - バッテリはバッテリ評価サイクルの再充電段階に入っています。詳細については、「評価サイクルの開始」をご参照ください。

評価中 - バッテリはバッテリ評価サイクルの放電段階に入っています。詳細については、「評価サイクルの開始」をご参照ください。

不在 - コントローラにバッテリがありません。

電源(低) - バッテリ充電が低下しており、バッテリは修整が必要です。

失敗 - バッテリが故障しています。別のものと交換してください。

不明 - バッテリの状況は不明です。

予測される容量状態

このプロパティにはバッテリの充電容量が表示されます。可能な値には次のようなものがあります。

準備完了 - バッテリのフル充電が可能です。

失敗 - バッテリが故障しています。別のものと交換してください。

不明 - バッテリは評価サイクル中です。充電容量は、評価サイクルを完了するまで確認できません。

評価状態

このプロパティにはバッテリ評価サイクルの現在の状態が表示されます。可能な値には次のようなものがあります。

アクティブ - 評価サイクルが現在進行中です。

失敗 - 評価サイクルが開始しましたが、途中で中止されました。

タイムアウト - 評価サイクルは、タイムアウトしました。

要求済み - バッテリの充電中にコントロールファームウェアまたはユーザーが評価サイクルを開始しようとすると、評価状態は要求済みと表示されます。評価サイクルを開始する前にバッテリを完全に充電 する必要があります。バッテリが完全に充電するまで評価状態は要求済みを表示します。バッテリが完全に充電されると評価サイクルを開始します。

アイドル - 評価サイクルは、現在非アクティブです。

必要 - 評価サイクルを行う必要があります。

評価モード

自動 - Storage Management は、設定した時間に基づいて自動評価サイクルを実行します。

警告 - 評価サイクルはデフォルトの 90 日を過ぎています。

メモ:警告 はファームウェアバージョン 6.1 以降を搭載した SAS コントローラでのみ使用できます。

バッテリが 警告 モードの場合は、コントローラの状態は「低下」と表示されます。

次の評価時間

このプロパティではコントローラファームウェアが次の評価サイクルを初期化するまで時間と日付を表示します。

最大評価遅延

このプロパティではバッテリの評価サイクルを遅延可能な最大日時数を表示します。コントローラファームウェアはバッテリの評価サイクルを自動的に初期化します。一時停止または評価サイクルを停止は不可能ですが、遅延することはできます。詳細については、「バッテリの評価サイクルの遅延」および「評価サイクルの開始」をご参照ください。

再充電カウント

このプロパティには、コントローラバッテリが再充電された回数が表示されます。

最大再充電カウント

このプロパティには、コントローラバッテリの最大再充電回数が表示されます。

バッテリのタスク

ドロップダウンメニューのバッテリタスクを実行するには、次の操作を行います。

1 ストレージ ツリーオブジェクトを展開して、コントローラオブジェクトを表示します。
2 コントローラオブジェクトを展開します。
3 バッテリ オブジェクトを選択します。
4 使用できるタスク ドロップダウンメニューからタスクを選択します。
5 実行 をクリックします。

ドロップダウンメニューのバッテリのタスク

バッテリの修正
評価サイクルの開始
バッテリの評価サイクルの遅延

バッテリの修正

この機能に対応するコントローラについては、「対応機能」をご参照ください。

一部のコントローラでは、信頼性を確保するため、約 6 ヶ月おきに修正する必要のある NiMHi バッテリを使用しているものがあります。修正サイクルを行う場合、バッテリを完全に放電して再充電する必要があります。この操作によって、バッテリの容量は正しく測定され、バッテリの完全ホールドオーバー時間を維持することができます。詳細については、「RAID コントローラバッテリ」をご参照ください。

コントローラバッテリは、次のいずれかの状況が発生した場合に修正する必要があります。

コントローラでバッテリの状況が低下していると報告された場合。バッテリ状態の詳細については、「バッテリのプロパティ」をご参照ください。
コントローラはイベント「2145」を生成し、バッテリは修正が必要であることを示します。

バッテリの修正には 8 ~ 10 時間ほどかかります。バッテリは修正中に完全に放電されてから、再充電されます。バッテリのホールドオーバー時間は(放電中は)ゼロに削減され、バッテリが完全に充電されたら回復します。書き込みキャッシュはバッテリの修正中には無効になっているため、パフォーマンスが低下してしまいます。

コントローラバッテリを修正するには、次の操作を行います。

1 ストレージ ツリーオブジェクトを展開して、コントローラオブジェクトを表示します。
2 コントローラオブジェクトを展開します。
3 バッテリ オブジェクトを選択します。
4 使用できるタスク のドロップダウンメニューから バッテリの修正 を選択します。
5 実行 をクリックします。
メモ:バッテリの修正タスクは、警告「2145」を生成した、または低下状況にある NiMHi バッテリを持つコントローラでのみ使用できます。コントローラによってはバッテリがないものもあります。その他のコントローラの中には、自動的に修正されるため、Storage Management で修正タスクがないリチウムイオンバッテリを使用しているものもあります。

関連情報:

バッテリのプロパティ

評価サイクルの開始

この機能に対応するコントローラについては、「対応機能」をご参照ください。

評価サイクルの開始 タスクはバッテリの評価サイクルを開始する際に使用します。

バッテリの評価サイクルはコントローラバッテリを放電してから充電します。

評価サイクルは、バッテリの集積回路を再測定して、コントローラはバッテリがコントローラキャッシュを停電時に指示された期間保持できるかを判断します。例えば、コントローラバッテリはコントローラキャッシュを 72 時間保持することができます。

評価サイクルの進行中、停電が生じるとバッテリはキャッシュを保持できない場合があります。コントローラがライトバックキャッシュポリシーを使用する場合、コントローラは、評価サイクルか完了するまでライトスルーキャッシュポリシーを変更します。ライトスルーキャッシュポリシーはディスクに直接データを書き込むので、停電が生じた場合キャッシュに書き込まれたデータの損失するリスクが減少できます。

メモ:コントローラをライトバック強制キャッシュポリシーに設定している場合、キャッシュポリシーは評価サイクル中に変更されません。ライトバック強制キャッシュポリシーを使用する場合、評価サイクルの進行中停電が生じるとデータを損失する可能性があります。

コントローラファームウェアは、90 日ごとに評価サイクルを自動的に開始します。評価サイクルの開始時間を 7 日間は遅延させることができますが、それ以上遅延するとファームウェアが自動的に評価サイクルを開始します。詳細については、「バッテリの評価サイクルの遅延」をご参照ください。

メモ:バッテリの充電中は、評価サイクルを実行できません。バッテリの充電中にコントロールファームウェアまたはユーザーが評価サイクルを初期化する場合、バッテリの評価状態は要求済みを表示します。バッテリが完全に充電されると評価サイクルを開始します。

バッテリの評価サイクルの遅延

この機能に対応するコントローラについては、「対応機能」をご参照ください。

コントローラファームウェアは、90 日ごとに バッテリの評価サイクルを自動的に開始します。評価サイクルを実行しているファームウェアを停止することはできませんが、評価サイクルの開始時刻を 7 日まで遅延をすることができます。バッテリの評価サイクルの詳細については、「評価サイクルの開始」をご参照ください。

バッテリの評価サイクルの遅延方法:

1 日 テキストボックスに数値を入力します。値は 0~7 の範囲である必要があります。入力した数値はバッテリの評価サイクルを遅延する日数を示します。評価サイクルは、最大 7 日まで遅延できます。
2 時間 テキストボックスに数値を入力します。値は 0~23 の範囲である必要があります。入力した数値はバッテリの評価サイクルを遅延する時間を示します。
3 変更の適用 をクリックします。変更を保存せずに終了する場合は、バッテリ情報ページに戻る をクリックします。

Storage Management からこのタスクを検出するには次のようにします。

1 ストレージ ツリーオブジェクトを展開して、コントローラオブジェクトを表示します。
2 コントローラオブジェクトを展開します。
3 バッテリ オブジェクトを選択します。
4 使用できるタスク ドロップダウンメニューから 評価サイクルの遅延 を選択します。
5 実行 をクリックします。

関連情報

バッテリのプロパティおよびタスク
評価サイクルの開始